住宅ローン特則(住宅資金特別条項)はマイホームを維持する方法

任意整理や過払い金請求だけでは賄えきれない借金問題に対しては、所謂破産系(個人民事再生,自己破産)の債務整理方法による解決が望まれます。

タイトルに記述したように、今回は「マイホームが有りながら債務整理をしなければならない方」に向けた内容となっています。

  • マイホームが有りながら任意整理で事なきを得られる方はそのまま任意整理へ
  • マイホームが無い方や、マイホームを処分する事になっても良いという方は自己破産へ

個人再生をする方だけが利用できる制度「住宅ローン特則(住宅資金特別条項)」

住宅ローン特則(住宅資金特別条項)とは、個人再生をする方に限定される特則で、他の債務整理(任意整理,自己破産,特定調停等)では選択する事ができません。

個人再生のメリットとして、マイホームに住み続けながら減額幅の大きい債務整理が出来るというポイントが広く知られています。

これを実現可能として認めている法律は、民事再生法第199条の存在です。

そもそも特則とは・・・
特約と同等に保険関連のサイトでよく目にする「特則」ですが、特約の保証や解釈の拡大で用いられる言葉であり、特約よりもさらに特別な規定。

つまり、何かに対して特則が定められるものであり、個人再生につきましては住宅ローン(住宅資金貸付債権)に対する特則という事です。

住宅ローン完済済みの個人再生の場合は?

DEBT博士
マイホームをキャッシュで一括払いする方も居れば、すでに完済済みの状況で個人再生をされる方も当然いらっしゃるでしょう。

この場合、住宅ローンの存在はありませんので、マイホームを手放さずに債務整理する事が出来る事が予見されます。

自己破産の場合には、完済済みのマイホームも債務の返済に充当されますので、財産処分の一環でマイホームを失う事になりますが、個人再生と言えどマイホームを失う可能性は0%ではありません。

清算価値保障の原則
これは自己破産とのバランスで考えると理解しやすく、自己破産よりも個人再生において、債権者が受け取る配当金が下回る事を禁じる原則です。

この清算価値保障原則を満たさない再生計画は、裁判所は認可しません。

住宅ローンを完済している状況でも、マイホームという財産を処分して債務の返済に当てる必要があれば手放す可能性が大きく、抱えている債務額が大きいという事は・・・そのような状況も止む無しと判断されます。

しかし、その財産評価額を債権者に配当する事が出来れば、処分されないという解釈も出来ますね。

住宅ローン特則の適用条件

住宅ローン特則の適用条件
再生債務者(個人再生手続を申立した債務者)についての要件
住宅についての要件
住宅ローンに関する要件
その他の要件
  1. 再生債務者(個人再生手続を申立した債務者)についての要件
  2. 債務者が法人ではなく個人であり、自分が住む為の住居ですか?

  3. 住宅についての要件
  4. 建物の床面積の半分以上が、自己の居住用ですか?

    住宅に、住宅ローンの債権者または保証会社の抵当権のみが設定されていますか?

    住宅以外の不動産(敷地など)にも住宅ローンの抵当権が設定されている場合には、その抵当権よりも優先順位の低い抵当権などが設定されていませんか?

  5. 住宅ローンに関する要件
  6. 住宅(敷地を含む)の新築、購入、リフォームに必要な資金の借入ですか?(借り換えでもよい)
    分割払いの定めがありますか?(一括払いでないこと)

  7. その他の要件
  8. 住宅ローンが保証会社により代位弁済された場合には、代位弁済後6ヶ月を経過するまでに再生手続開始の申立をする事。

住宅ローン特則のメリット

個人再生における、「小規模個人再生」または「給与所得者等再生」のどちらの場合でも、適用する事ができます。

住宅ローン特則のメリットと言うよりも個人再生のメリットとして考えられるものであり、住み慣れた住環境を維持しながら債務整理する事が出来るのは、精神的にも非常に嬉しい事ですよね。

また、連帯保証人に対する請求等もストップさせる事ができます。

マイホームが無くなれば、新しく住まいを見つける事が与儀なくされるわけですが、またここで金銭的な負担が発生してしまいますし、債権者から見てもそのまま住み続けていただいた方がメリットが大きいのです。

それは、前述した「清算価値保障の原則」から予測される事として、債権者に対する配当金が自己破産時よりも下回る事ができないのですから、自己破産を選択されるよりも債権を回収しやすい状況になるからです。

住宅ローン特則のデメリット

個人再生(小規模個人再生,給与所得者等再生)の一環で認められる制度ですから、そもそも誰もが住宅ローン特則の適用を満たす事が出来る訳ではありません。

個人再生を比較検討する中で、住宅ローンの支払いが既に滞っていた場合には、住宅ローン会社以外にも抵当権が発生している場合には認められませんし、法定代位によって取得した債権では無い事など、単純にマイホームを手放したく無いという思いだけでは手続きが出来無いのです。

また、個人再生によって債権が減額する事は出来ても、住宅ローンは減額する事はありません。

マイホームに住み続ける事が出来たとしても、もともとの収支の中で住宅ローンが家計を圧迫している原因だとするならば、住宅ローン特則の要件を満たしたとしても、何の効果も得られる事がありません。

住宅ローン特則適用後の支払い方法

債権計画に基づいた金額と返済期間の中で分割して支払いを続ける事になりますが、5種類の返済方式があります。

  1. そのまま型
  2. 文字通り、個人再生手続き前と変わらずに返済をする方法です。

    貸金業者の債務は延滞していても、住宅ローンは滞りなく支払いを続けている人の割合が大多数と言われており、住宅ローン特則の多くはそのまま型で弁済していく形になりますので、最も理解しやすい方法です。

    個人再生は最低弁済総額を、3年から最高5年間の間で完済すると残債務の免責を得られる仕組みですから、住宅ローンと圧縮された弁済を図解しますと下記のようになります。

    住宅ローン特則そのまま型

  3. 期限の利益回復型-(民事再生法199条1項)
  4. 住宅ローンの返済を、個人再生手続き前に滞らせてしまっていた方の弁済方法です。

    再生手続き後に遡って弁済をする事を認めてもらい、未納分と遅延損害金を支払う事でマイホームに住み続けながら弁済をする事が出来る仕組みから、「住宅ローンの巻き戻し」とも言われています。(どんな借金でも滞納しない方が安く済むんですよね・・・)

    減額された債務と、未納していた住宅ローンと遅延損害金を同じ期間で弁済します。

    期限の利益回復型-(民事再生法199条1項)

    代位弁済から6ヶ月以内に住宅ローン特則付きの個人再生の手続きをする事が利用の条件です。

    返済が滞りますと、通常は保証会社より住宅ローン会社に対して代位弁済をする事になります。

    3ヶ月以上も返済が滞ってしまいますと、住宅ローン会社は期限の利益喪失として保証会社から代位弁済、そして6ヶ月を過ぎる頃には保証会社は競売の手続きを取る事になります。

  5. 期限延長型(リスケジュール型)-(民事再生法199条2項)
  6. 住宅ローンの毎月の返済額を最大で10年間に引き伸ばし、完済を目指す支払い方法です。

    ただし、時間を要する仕組みの為に債務者が70歳に達してしまうと認められないという条件があります。

    毎月の返済額を減らす事はできますが、長く支払う事になるという事は、結果として利息を多く支払う事になる事は理解しておく必要があります。

    支払い期限を延長できる事以外は、期限の利益回復型-(民事再生法199条1項)と変わりません。

    注意
    住宅ローンといえば、30年程度のローンを組む機会が多いかと思いますが、例えば35歳の時に35年ローンを組んでしまいますと、期限延長型の特則は適用する事は出来ないという事です。

    さらに、毎月の返済額を減らす事はできますが、ローンそのものの減額はされません。利息も同様です。

    期限延長型(リスケジュール型)-(民事再生法199条2項)

  7. 元本猶予期間併用型-(民事再生法199条3項)
  8. なんだか難しい言葉使いをしますが、これまでご紹介してきた弁済方法は、最初の3年~5年にたくさん弁済し、後が楽になる仕組みでした。

    こちらの弁済方法は、住宅ローンの一部を猶予してもらう形で、減額された債務と一緒に支払いをしていき、減額された債務の弁済完了後に住宅ローンの返済を開始する仕組みです。

    元本猶予期間併用型とご紹介していますが、元本一部据置型という名称で紹介される事もあります。

    元本猶予期間併用型-(民事再生法199条3項)

  9. 同意型-(民事再生法199条4項)
  10. 5つ目の内容で、ここまで長々と記述してきましたが、こちらで最後です。

    これまでの4つの弁済方法は、債権者に対しての同意が不要な方法でしたが、今回の弁済方法は文字通り、債権者に同意を得て弁済計画を立てる内容です。

    そもそも、個人民事再生そのものが債務者にとって都合の良い制度である事を思い出しましょう。

    同意を得る目的とは、債務者にとって有利になるように交渉を持ちかける事ですから、債権者の同意を得る事は簡単な話ではありません。

    同意型で債権者に求める弁済方法の提案としては、下記が例として挙げられます。

    DEBT博士
    金利の見直し、債務の一部を免責
    契約の見直し
    ボーナス払いの項目を無くす
    70歳を超えても期限延長型(リスケジュール型)の特則で弁済したい
    などなど

住宅ローン特則適用後に滞納したらどうなるの?

住宅ローン特則適用後に滞納と言うよりも、個人民事再生後の滞納として紹介される事が多いです。

当サイトに限らず、個人民事再生手続き後の滞納について紹介しています。

滞納しても良い事はありません。

ましてや個人民事再生という債務を一部免責してもらいながら、自分にとって有利な条件で弁済方法を改めて和解しているのですから、債務者に対する心証は決して良い事はありません。

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住宅ローン特則(住宅資金特別条項)はマイホームを維持する方法
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